膵がん(pancreatic cancer)
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膵がん(pancreatic cancer)
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膵がんとは:
膵臓は、胃の裏側に位置する15~20cmほどの平らで細長い臓器です。膵臓は、”膵液”という消化酵素を作り膵管から十二指腸に流れていきます。さらに膵臓は、インスリンなどのホルモンというものを作り出して血糖値のコントロールをしています。
膵臓は胃の裏側に位置するためがんなどの病変が発見されにくく、症状も出にくいため早期発見することが非常に困難ながんの一つです。膵臓がんは症状がほとんどなく進行し、診断された時の80%がStageⅣの進行がんであり、予後が悪い原因となっています(図1,2)。
1cm未満の段階で膵がんが早期発見され外科手術で切除できた場合には、その5年生存率は80%以上といわれています。早期の膵がんでは、根治が望めます。
下記のような症状などが1項目でも当てはまる方は、一度腹部エコー検査などの画像診断を受けることをお勧めします。
・みぞおちや背中に痛みや不快感のある方
・体重が1 か月で5kg 以上減った方
・ご家族に膵臓がんの方がいる方
・大量に飲酒される方
・喫煙されている方
・肥満のある方
・1 年以内に糖尿病と診断された方
・糖尿病が悪化された方
・血液検査で膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)の値や腫瘍マーカー(CEA, CA19-9 など)が高いと言われた方
・慢性膵炎、膵のう胞、IPMN と診断された方
また、腹部エコー検査で異常が認められた場合には、超音波内視鏡検査(EUS)をお勧めしています。超音波内視鏡は先端に高解像度の超音波装置を内蔵した内視鏡装置であり、胃や十二指腸の壁に超音波装置を直接当てて操作することにより膵臓の組織をより鮮明に描出することができます。
CTやMRIでは指摘困難な1cm以下の病変を超音波内視鏡検査では描出できることも特徴の1つです(図3,4)。また、造影剤アレルギーがある方で造影CTができない方に対しても安全に検査を行うことができます。
膵がんの実際の診断はEUS、CT、MRIなどを組み合わせて行います。EUSの際に、針を腫瘍に刺して組織を採取することができます(EUS-Fine NeedleAspiration; EUS -FNA)。また、EUSを使用することで胆管内の結石なども調べることができます。EUSは、連携病院の共済病院で行っています。検査にご興味のある方はご相談ください。
膵がんのCT画像
図1.膵尾部がん・多発肝転移症例。
図2.超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)
図3.膵体部がん。造影CTでは腫瘍を指摘不能。
図4.超音波内視鏡では1cm以下の低エコー腫瘍
・Hayasaka K, et al. The effectiveness of intraductal ultrasonography for cystic duct cannulation. Gastrointest Endosc 2017; 85: 1307-8.